1 はじめに
本市では、平成12年度から、効果や効率性を重視した市民参加型の行政運営に取り組むため、民間経営の基本である「計画(PLAN)→実施(DO)→評価(SEE)」というマネジメントサイクルを取り入れた、行政評価の導入に着手しました。
平成13年度からは、全事業に行政評価を導入するとともに、同時にスタートさせた「新発田市まちづくり総合計画」の進行管理の指標として行政評価システムを役立てています。
平成24年度からは、新しい「新発田市まちづくり総合計画」を施行するとともに、行政評価をよりわかりやすくし客観的に成果を把握できるよう、見直しを行いました。
2 まちづくりにおける行政評価の役割
総合的かつ計画的な市政運営及び健全な財政運営を実現するためには、
@ 健全な行政経営(財源を確保し、まちづくり総合計画と連動して有効活用する)
A 市民との協働(市民と行政が一体となって「まちづくり」を進める)
という2点が重要と考えています。
具体的には、事務事業の効果を評価することによって、政策を再構築し、市民にとっても分かりやすく透明性の高い行政運営を進めていくことを目指しています。
正しく、しかも、わかりやすく行政情報を伝えていかなければ、「まちづくり」に参加するために必要な判断材料を市民が得ることはできません。市民と行政が情報を共有し、共通認識を持つための手段として行政評価を活用しています。
行政評価を実施する最大の目的は、行政に携わる職員が、自らが担当している業務の実施状況を行政評価による客観的な視点を通じて適正に認識し、業務を見直していくことです。また、その結果を公表することによって市民と情報を共有し、さらなる業務の改革改善や統廃合、新規提案につなげていき、「計画(PLAN)→実施(DO)→評価(SEE)」のマネジメントサイクルの確立を目指しています。
このマネジメントサイクルにより、行政内部組織の体質改善を図っていくことが重要であると考えています。
3 新発田市まちづくり総合計画の施行と行政評価の再構築について
平成24年度からは、二階堂市長が掲げた政策プランである「新発田まちづくり実行プラン」を融合した、新たな「新発田市まちづくり総合計画」を施行しました。
新発田市まちづくり総合計画は、基本構想、基本計画、実施計画で構成します。
@ 基本構想
市が目指すべき将来都市像及びこれを実現するための基本目標を示しています。
基本構想は、「住みよいまち日本一 健康田園文化都市、しばた」を将来都市像に掲げ、5つの基本目標を設定しています。
A 基本計画
基本目標を達成するため、施策を体系付け、施策推進のための方針を示しています。
基本計画は、41の施策により構成しています。
B 実施計画
施策を実現するため実施する事務事業を示しています。
また、新発田市まちづくり総合計画の施行に合わせ、行政評価の再構築を行いました。
「新発田市まちづくり総合計画」と「行政評価」の位置付けを示すと、次の相関図となります。
新発田市まちづくり総合計画の基本構想を具現化するための基本計画に定められた方向性に沿って各事務事業を実施しますが、計画の進行管理にあたっては、行政評価を活用します。
行政評価は、施策体系における事務事業段階では各事務事業の達成度を毎年度評価し、施策段階ではそれら事務事業の達成度を総合的に評価します。
それぞれの評価結果を分析し、市民に公表することで行政の透明性の確保と市民起点に立った行政運営を行うとともに、効率的、効果的に総合計画を推進します。
新発田市まちづくり総合計画と行政評価の相関図
行政評価の再構築によって、事務事業のうち、政策経費※に位置づく事務事業の評価は、評価指標の達成状況を基に0点〜5点に評点することとしました。
また、施策の評価は、評価指標の設定は行わないこととし、施策に属する各事務事業の達成度から導き出される施策の達成度(%)を基に総合的に評価することとしています。
導き出された達成度を基に、事務事業間又は施策間において、目的に対する実施状況を相対的に比較検証することができます。
再構築した行政評価システムを活用して新発田市まちづくり総合計画の進捗管理や市民へのわかりやすい行政運営の説明を行っていきます。
※政策経費:ソフト・ハード事業、事業補助金、扶助費、積立金・出資金等、特別事業、公債費等の経費であり、人件費(給与、報酬、手当)及び経常経費(維持管理運営費、負担金等)は含まれない。
まちづくり総合計画施策体系
平成24年度 行政評価結果
1 施策評価について
新発田市まちづくり総合計画では、5つの基本目標を掲げており、それに対して41の施策を施策体系として設定しています。
施策における評価では、施策ごとの評価指標の設定は行わず、施策に属する各事務事業の達成度から導き出される施策の達成度(%)を基に評価しています。
◆ 平成24年度施策評価結果について(基本目標別総括)
平成24年度施策評価における施策の達成度を施策が属する基本目標ごとに取りまとめました。
併せて、施策の達成度から、基本目標としての達成度の平均値を求め、次の達成状況区分で分類しています。
区分記号 |
A |
B |
C |
D |
E |
達成状況 |
100%〜80% |
80%未満〜60% |
60%未満〜40% |
40%未満〜20% |
20%未満〜0% |
なお、全41施策の達成度の平均(全体平均)は 73.34% となりました。
T 生活・環境
基本目標の達成率(15施策の平均) 81.43% 達成状況区分 A
基本目標に位置付く施策の達成度(15施策)
基本目標に位置付く15施策のうち、達成状況区分A(100%〜80%達成)の施策は「防災」「消防・救急」「防犯・交通安全」「情報基盤」「上・下水道」「景観」「土地利用」の7施策です。
達成状況区分B(80%未満〜60%達成)は7施策、達成状況区分C(60%未満〜40%達成)は1施策でした。
全41施策の達成度平均(73.34%)を11施策が上回りました。
上記施策のうち、「防災」「道路」「公共交通」「生活環境保全」「住宅・住環境」「公園・緑地」「中心市街地整備」は平成24年度の重点施策でした。
U 健康・医療・福祉
基本目標の達成率(6施策の平均) 70.94% 達成状況区分 B
基本目標に位置付く施策の達成度(6施策)
基本目標に位置付く6施策のうち、達成状況区分A(100%〜80%達成)の施策は「地域医療」「地域福祉」の2施策です。
達成状況区分B(80%未満〜60%達成)は2施策、達成状況区分C(60%未満〜40%達成)は2施策でした。
全41施策の達成度平均(73.34%)を3施策が上回りました。
上記施策のうち「健康づくり」「地域福祉」「障がい者福祉」「高齢者福祉」「子育て」は平成24年度の重点施策でした。
V 教育・生涯学習
基本目標の達成率(6施策の平均) 69.61% 達成状況区分 B
基本目標に位置付く施策の達成度(6施策)
基本目標に位置付く6施策のうち、達成状況区分A(100%〜80%達成)の施策は「文化財」の1施策です。
達成状況区分B(80%未満〜60%達成)は5施策でした。
全41施策の達成度平均(73.34%)を2施策が上回りました。
上記施策のうち「学校教育」「スポーツ・レクリエーション」は平成24年度の重点施策でした。
W 産業
基本目標の達成率(7施策の平均) 67.03% 達成状況区分 B
基本目標に位置付く施策の達成度(7施策)
基本目標に位置付く7施策のうち、達成状況区分A(100%〜80%達成)の施策は「エネルギー」の1施策です。
達成状況区分B(80%未満〜60%達成)は4施策、達成状況区分C(60%未満〜40%達成)は2施策でした。
全41施策の達成度平均(73.34%)を3施策が上回りました。
上記施策のうち「産業連携」「商工業」「農林水産業」「観光」「中心市街地活性化」「エネルギー」は平成24年度の重点施策でした。
X 市民活動・行政活動
基本目標の達成率(7施策の平均) 83.88% 達成状況区分 A
基本目標に位置付く施策の達成度(7施策)
基本目標に位置付く7施策のうち、達成状況で達成状況区分A(100%〜80%達成)の施策は「都市間・国際交流」「人権」「同和行政・同和教育」「男女共同参画」の4施策です。
達成状況区分B(80%未満〜60%達成)は3施策でした。
全41施策の達成度平均(73.34%)を6施策が上回りました。
上記施策のうち「市民参画と協働」「情報通信」「行政改革」は平成24年度の重点施策でした。
以上、平成24年度施策評価結果を基本目標の区分ごとに見てきましたが、全41施策の達成度平均73.34%を上回っている施策は25施策となります。
また、達成状況区分A(100%〜80%達成)の施策は15施策となり、達成状況区分B(80%未満〜60%達成)は21施策、達成状況区分C(60%未満〜40%達成)は5施策でした。
達成状況区分D(40%未満〜20%達成)、E(20%未満〜0%)の施策はありません。
施策ごとで達成度に格差はあるものの、施策全体の8割強を占める36施策が達成度60%以上の成果をあげています。
今後は、各施策に属する事務事業の成果向上を図りながら、施策の達成度の底上げを行い、施策の目的を一層推進していきます。
2 事務事業について
(1)事務事業の動き
平成24年度決算ベースでの事後評価件数は1,054件となり、平成23年度の1,048件と比較すると6件の増加が見られました。これは、当市における緊急の課題である「人口減少への対応」から「産業振興」と「少子化対策」を特に力を入れて取り組む事項と定めたことによるものと考えられます。今後も、事務事業が、効率的・効果的に実施されるよう、再編・整理、廃止・統合を含めた見直しを進めていきます。
主な内訳は、以下のとおりです。
■事務事業事後評価 区分別件数
区 分 |
H23件数 |
H24件数 |
主な事務事業名(H24) |
新 規 |
26 |
45 |
「婚活支援事業」、「にぎやか商店街実施モデル事業」 「住宅リフォーム支援事業」、「県立病院跡地整備事業」 |
現状維持 |
342 |
381 |
|
拡 充 |
258 |
267 |
「アスパラ生産拡大支援事業」 「西新発田五十公野線整備事業(東豊工区)」 |
縮 小 |
254 |
196 |
「五十公野バイパス(太斉区間)建設事業」 「地域活性化商品券発行参画事業」 |
休 止 |
32 |
35 |
|
再 開 |
5 |
7 |
|
予定事業 |
5 |
5 |
|
そ の 他 |
126 |
118 |
(継続事業で人件費のみの事業) |
合 計 |
1,048 |
1,054 |
|
廃 止 |
40 |
32 |
「県立紫雲寺記念公園整備事業」 「栄養食品支給事業」 |
■事務事業件数の推移
(2)評価結果割合
平成24年度の事務事業評価結果を集計すると、目標達成を示す5点が325件、目標は達成しなかったものの、目標達成に向け進捗が図られている事務事業が164件、目標未達成が73件となりました。
目標を達成できなかった事務事業においては、改革改善の取り組みを図り、事業を展開していきます。
比 較 区 分(達成率) |
件 数 |
割 合 |
||
5点 |
目標達成 |
100% |
325 |
57.7% |
4〜4.5点 |
目標未達成だが、目標達成に向け進捗が図られている |
80%〜90% |
32 |
5.7% |
3〜3.5点 |
60%〜70% |
47 |
8.3% |
|
2〜2.5点 |
40%〜50% |
55 |
9.8% |
|
1〜1.5点 |
20%〜30% |
28 |
5.0% |
|
0.5点 |
10% |
2 |
0.4% |
|
0点 |
目標未達成 |
0% |
73 |
13.1% |
合 計 |
|
562 |
100.0% |
※全事務事業中、指標を設定しているもので、休止、予定事業、廃止を除く
基本目標別で見ていくと
T 生活・環境
(119事務事業)
5点 ・・・ 76件(63.9%)
目標達成
0点を超え、5点未満 ・・・ 38件(31.9%)
0点 ・・・ 5件( 4.2%)
5点の事務事業は、「住宅リフォーム支援事業」「市道改良整
備事業」、などです。
U 健康・医療・福祉
(191事務事業)
5点 ・・・101件(52.9%)
0点を超え、5点未満 ・・・ 64件(33.5%)
0点 ・・・ 26件(13.6%)
5点の事務事業は、「婚活支援事業」、「めざせ100彩健康
づくり推進事業」などです。
V 教育・生涯学習
(103事務事業)
5点 ・・・ 66件(64.1%)
0点を超え、5点未満 ・・・ 14件(13.6%)
0点 ・・・ 23件(22.3%)
5点の事務事業は、「藤塚小学校補強改修事業」、「城下町
しばたスポーツフェスタ」などです。
W 産業
(100事務事業)
5点 ・・・ 48件(48.0%)
0点を超え、5点未満 ・・・ 36件(36.0%)
0点 ・・・ 16件(16.0%)
5点の事務事業は、「にぎやか商店街実施モデル事業」、
「新発田野菜ブランド化拡大支援事業」などです。
X 市民活動・行政活動
(49事務事業)
5点 ・・・ 34件(69.4%)
0点を超え、5点未満 ・・・ 12件(24.5%)
0点 ・・・ 3件( 6.1%)
5点の事務事業は、「市庁舎建設事業」、「固定資産現況
調査事業」などです。